[レポート] AWSによる放送プレイアウトのクラウド・トランスフォーメーション #interbee2020
Inter BEE 2020 ONLINE のセッション「AWSによる放送プレイアウトのクラウド・トランスフォーメーション」のレポート記事となります。
こんにちは、大前です。
本記事は、Inter BEE 2020 ONLINE のセッション「AWSによる放送プレイアウトのクラウド・トランスフォーメーション」のセッションレポートです。
セッション情報
セッションタイトル
AWSによる放送プレイアウトのクラウド・トランスフォーメーション
セッション概要
“放送局の心臓部”と言われる送出マスターで,AWSの活用が海外で広がり始めています。本セッションでは,最新の海外事例と、放送ソリューションで利用されるAWSサービスについてご紹介します。
リンク
該当のセッションはこちらから視聴が可能です。
スピーカー
- 山口 賢人 氏
- アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
- インダストリー事業開発部 (メディア&エンターテインメント) シニア事業開発マネージャー
- ピーター・リオーダン 氏
- Amazon Web Services Inc.
- ワールドワイド ブロードキャスト事業開発部門長
セッションレポート
- AWS で実現する放送パイプラインのクラウド化
- 放送・配信パイプライン
- 様々なコンテンツが制作され、放送局に届けられる
- 放送局からは地上波/ケーブル/OTT等様々な配信先に送出される
- AWS で実現するテレビ放送・配信のパイプライン
- 様々な場所から MediaConnect に映像が送られ、プレイアウトシステムに渡される
- 作成された VoD アセットは S3 に保存される
- MediaLive を使用し、ビデオストリームを作成
- MediaPackage + CloudFront にて配信を行う
- 放送向けには、MediaConnect を経由し衛生/ケーブル放送を行う
- また、様々な OTT チャンネルにも映像を送出することが可能
- 様々な場所から MediaConnect に映像が送られ、プレイアウトシステムに渡される
- 信頼性の高い放送システムの実現
- 完全に冗長化されたパイプラインを作成することが可能
- MediaConnect を利用することにより、信頼性の高い映像伝送が可能
- Cloud Digital Interface について
- AWS が開発、提供する
- 映像を EC2 間で非圧縮で転送できる
- クラウド版の SDI のようなイメージ
- 広帯域、低レイテンシ
- SDK として提供されている
- Windows/Linux 共に利用可能
- 利用自体は無料
- AZ 内の転送に最適化されている
- 放送・配信パイプライン
AWS Broadcast Transformation
- 業界に何が起きているか
- 消費者が様々なプラットフォームを利用しており、コンテンツへの需要が高まっている
- 放送局も対応が求められる
- ハードウェアからソフトウェア環境へのシフトが求められている
- 新たな試みなどがしやすい環境になっている
- 特定の期間だけチャンネルを起動させておくなども可能
- 消費者が様々なプラットフォームを利用しており、コンテンツへの需要が高まっている
- リモート作業という考え方が広がってきている
- 技術者や製作者が現場に集まる必要がなくなっている
- どこにいるかを問われない時代に
- 放送においても IP ベースでの配信が主流になってきている
- 5G や ATSC3.0
- 事例
- Discovery Communication
- AWS を利用したプレイアウトの実現を進めている
- パートナー企業と協力し、オンプレからクラウドへの移行を進めた
- 多言語対応などのために機能を追加したかったが、オンプレ設備の増設が難しいという課題があった
- そのため、クラウドの利用が候補に上がっていった
- より柔軟なビジネスが可能
- 短期間のみの利用なども可能
- Technical Emmy Award を受賞した
- クラウドベースのプレイアウトを実現したことが大きな理由
- Sinclair Broadcast Group
- 全米で 200 近い TV 局を持つ会社
- AWS を用いたプレイアウトシステムを構築する事を推進した
- オンプレの仕組みをそのまま持ってくるのではなく、AWS 側で提供されているサービスの利用を検討した
- MediaConvert の利用など
- マネージドサービスの利用により、必要な分のみ費用を支払うのみでよくなった
- MediaConvert の利用など
- TCO の削減にもつながった
- HBO
- オンプレでプレイアウト設備を持っていたが、より柔軟なソリューションを求めていた
- AWS であれば UHD や 4K 対応が簡単である点に注目した
- まずは DR 用途として AWS の利用を開始した
- Amagi
- コストの削減に成功した
- Veset
- VoD ライブラリの配信
- 2週間でチャンネルの構築から収益モデルの構築までを実施した
- Fox Network
- 様々な取り組みを行ってきた
- CDI の開発
- EC2 間の映像転送に用いられる
- 遅延への対応から生まれた技術
- 様々な取り組みを行ってきた
- Discovery Communication
- AWS 上では 1600 ほどのチャンネルが運用されている
- 実験領域だけでなく、実稼働しているサービスでも用いられている証拠
- 非常に多くのお客様から選ばれている
- 今日のライブイベントワークフロー
- プレイアウトのための多くの人員が制作現場に集合する必要があった
- AWS はワークフロー内の各コンポーネントに対しサービスの提案や改善を行ってきた
- 撮影から制作、配信まで
- リモート作業によって
- 人員コストが削減できる
- また、ケーブルの引き回し作業等もなくなる
- カメラが 5G 等で接続される時代も近いと考えている
- 様々なスタッフが別々の場所にいる状態で制作を進めることができる
- 衛星通信についてのトレンド
- 衛星放送から地上波への放送へのシフトが進んでいる
- MediaConnect の利用や伝送実験
- 結果としてコスト削減にも繋がることが確認できた
- 衛星放送から地上波への放送へのシフトが進んでいる
- MediaConnect の新しい機能について
- コンテンツの伝送で使用されるサービス
- 今年のアップデートでインプットのフェイルオーバーがサポートされた
- これにより、より高い冗長性と信頼性を担保できるようになった
- 求められていた機能だった
- 複数対象への配信について
- コンテンツを複数パートナーに配信する際、配信コストの配分について課題があった
- MediaConnect を利用することで、ビジネス条件に応じた支払い設定が可能に
- ATSC3.0 とは
- アメリカや韓国など世界中で議論されている IP ベースの新規格
- より多くの機能を提供する
- マルチプラットフォーム配信対応
- インタラクティブ性
- コンテンツのパーソナライズ
- 放送局がよりユーザにフォーカスした配信を行うことが可能に
- OTT 向けに開発されたきた広告技術やパーソナライズ技術も今後関わってくるはず
まとめ
- 放送のクラウド化へのモチベーションまとめ
- チャンネル増減へ柔軟に対応したい
- ユーザーエンゲージメントを高める
- グローバルマーケットへの展開を加速
- 新フォーマットへの柔軟な対応
- インフラコストのOpex化
- 放送設備・施設の統合・償却
おわりに
Inter BEE 2020 ONLINE のセッション「AWSによる放送プレイアウトのクラウド・トランスフォーメーション」のレポートでした。
国内外問わず、オンプレからの移行や現場での作業の軽減という動きが活発になっていることを実感できるセッションでした。
以上、AWS 事業本部の大前でした。